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アレルギー情報センターガイドライン鼻アレルギー

ガイドライン

鼻アレルギー


目次

■定義

■疫学

■検査・診断法

■治療


定義



ガイドラインでは「アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)は鼻粘膜の I 型アレルギー疾患で、原則的には発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏、鼻閉を3主徴とする」となっています。

I 型アレルギー疾患とはIgE抗体によるアレルギー疾患を指し、外因性のアレルゲン(アレルギーの原因物質−スギ、ブタクサ、室内塵、ダニなど)があることを前提とします。スギ花粉症もアレルギー性鼻炎の1疾患であるわけです。くしゃみ、水性鼻漏(さらさらした水のような鼻水が出ること)、鼻閉(鼻づまり)が主な症状です。鼻アレルギーは鼻腔のみならず副鼻腔のアレルギーを含み、アレルギー性鼻炎より広範な概念になります。アレルギー性鼻炎は好発時期から通年性と季節性に分けられ、前者は室内塵(house dust-HD)、ダニのアレルギーが多く、後者はほとんどが花粉症です。なお室内塵は雑多なものを含んでおり、その中で1番多くアレルゲンとして働くのはダニですので、ほとんどの場合、室内塵アレルギーはダニアレルギーを意味します。なお食物抗原によるアレルギー性鼻炎はごく少ないものと考えられています。




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疫学



アレルギー性鼻炎は1960年の前半からの慢性副鼻腔炎の減少、軽症化と逆比例して1965年後半から増加し始め、1970年以降急増し、今なお増加しています。耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした調査では1998年から2008年までの10年間に著しい増加をみました。花粉症が19.6%(1998年)から29.8%(2008年)、アレルギー性鼻炎全体では29.8%(1998年)から39.4%(2008年)となっています。増加している原因は必ずしもはっきりしませんが、アレルゲン量の増加が第1と考えられています。気密性の高い建築に西洋式暖房、家具を備え、核家族化、共稼ぎの増加などにより清掃の機会が減り、室内塵・ダニが増加し、戦後に大規模に植林されたスギが花粉生産力の強い樹齢30年以上となり、スギ花粉量が増えていると考えられます。




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検査・診断法



まずアレルギー性であるかどうかの検査をし、アレルギー性と判断されれば原因アレルゲンを主とする原因の検査を行います。前者には問診、鼻鏡検査、副鼻腔X線検査、血液・鼻汁好酸球検査、血清総IgE定量があり、後者には皮膚テスト、血清特異的IgE抗体検査、誘発検査があります。

問診では年齢、性、職業、症状の種類、程度、発症年齢、好発時期、合併症、アレルギー既往歴、家族歴、過去、現在の治療歴と経過、などを詳しく聞きます。問診、鼻鏡検査、鼻汁好酸球検査からある程度アレルギー性であるかどうかの目安が立ちます。好酸球というのは血液の中の白血球の一種でアレルギー性鼻炎では鼻汁中に増加しています。原因アレルゲンを同定することは重要で、治療、生活指導の基礎となります。

先に述べた3主徴があり、鼻汁好酸球、皮膚テスト、血清特異的IgE抗体、誘発テストが陽性であれば診断は確実です。

診断の注意点としては以下のようなことがあげられている。

(1) 幼児では症状を訴えず、鼻閉が扁桃肥大や慢性副鼻腔炎によることも多い。
(2) 花粉症では季節外には鼻粘膜も正常で、鼻汁好酸球陰性である。
(3) 一般に皮膚テスト、血清特異的IgE抗体が陽性でも原因アレルゲンでない場合もあり、総合的な判断が要求される。
(4) 有症者で鼻汁好酸球検査、皮膚テスト(または血清特異的IgE抗体)、誘発テストのうち2つ以上陽性ならばアレルギー性鼻炎と確診できるが、花粉症の場合好発時期以外の診断では問診と皮膚テストまたは抗体の定量が特に重要である。
(5) 皮膚テストと血清特異的IgE抗体検査の結果が一致しないこともあるので、問診と矛盾するときは両者の実施が必要なこともある。
(6) 上記3テストのうち1つのみ陽性であっても典型的症状を示し、アレルギー検査が中等度以上陽性ならばアレルギー性鼻炎としてよい。しかし好酸球のみ陽性の時は他の鼻炎との鑑別に慎重でなければならない。
(7) 皮膚テスト、誘発テスト、血清特異的IgE抗体が陰性の時は、アレルゲンの選択もれや検査法の感度を考えて再検すべきで、典型的な有症者の約95%はアレルゲンの同定が可能である。
(8) 陽性アレルゲンには地域差があるので地域特異性の知識が必要である。最近はペット(特にイヌ、ネコなど)やゴキブリのアレルギーもみられる
(9) アレルギー性鼻炎と類似の症状を示すものに血管運動性鼻炎と好酸球増多性鼻炎がある。成人発症、非典型的症状、アレルギー検査陰性などが主な相違であるが、アレルギー性鼻炎と同じく抗アレルギー薬が有効である。患者数は多くはない。



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治療

1. 治療の目標


治療の目標は患者さんを次の述べる状態に持っていくことです。

(1) 症状はない、あるいはあってもごく軽度で、日常生活に支障のない、薬もあまり必要でない状態。
(2) 症状は持続的に安定していて急性増悪があっても頻度は低く、遷延しない状態。
(3) アレルゲン誘発反応がないか、または軽度の状態。

2. 治療法


アレルギーの治療法は患者とのコミュニケーション、アレルゲンの除去と回避、薬物療法、特異的免疫療法、手術療法に分けられます。

a. 患者とのコミュニケーション

医師、患者間のコミュニケーションをよくし、治療への意欲、病気や治療法への理解、医師への信頼を促進し、互いに診療のパートナーとなるべきです。アレルギー性鼻炎のメカニズム、治療法、合併症、予後、薬の使用法、検査結果に対する十分な説明が必要で、日記の記入、規則的通院、日常生活の改善、アレルゲンの同定と除去などに患者側からの積極的な協力が欠かせません。

b. 自然治癒、アレルゲン除去と回避

鼻アレルギー(含花粉症)の自然治癒は比較的少ないと言われています。ここでは代表的なアレルゲンである室内塵・ダニ、スギ花粉、ペットのアレルゲンの減量、回避について述べます。

室内塵・ダニの除去
(1)

室内の掃除には排気循環式の掃除機を用いる。1回20秒/m2の時間をかけ、集に2回以上掃除する。

(2) 敷物のソファ、カーペット、畳はできるだけやめる。
(3) ベッドのマット、ふとん、枕にダニを通さないカバーをかける。
(4) 部屋の湿度を50%、室温を20〜25℃に保つよう努力する。
スギ花粉の回避
(1) 花粉情報に注意する。
(2) 飛散の多い時期の外出を控える
(3) 飛散の多いときは窓、戸をしめておく。
(4) 飛散の多いときは外出時にマスク、メガネを使う。
(5) 表面がけばけばした毛織物などのコートの使用は避ける。
(6) 帰宅時、衣服や髪をよく払い入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
(7) 掃除を励行する。
ペット(特にネコ)アレルゲンの減量
(1) できれば飼育をやめる。
(2) 屋外で飼い、寝室に入れない。
(3) ペットと、ペットの飼育環境を清潔に保つ。
(4) 床のカーペットを止め、フローリングにする。
(5) 通気をよくし、掃除を励行する。

c. 薬物療法

アレルギー性鼻炎の治療には、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、ケミカルメディエーター受容体拮抗薬。Th2サイトカイン抑制薬、ステロイド薬が一般的に用いられます。

1)

アレルギー性鼻炎用抗アレルギー薬

(1)ケミカルメディエーター遊離抑制薬

効果はマイルドですが連用により改善率が上昇します。鼻閉にもやや効果があります。眠気の副作用がなく、全体に副作用が軽微です。
商品名:インタール、リザベン、ソルファ、アレギサール・ペミラストン

(2)ケミカルメディエーター受容体拮抗薬

I ヒスタミン拮抗薬(抗ヒスタミン薬)
商品名:
第1世代 ポララミン、タベジール
第2世代 ザジテン、アゼプチン、セルテクト、ゼスラン・ニポラジン、ダレン・レミカット、アレジオン、エバステル、ジルテック、リボスチン、タリオン、アレグラ、アレロック、クラリチン、ザイザル

第2世代の抗ヒスタミン薬は第1世代に比べて中枢鎮静(眠気)、抗コリン作用などの副作用が少なく、効果発現は遅いが持続が長く、鼻閉にもやや効果が見られ、全般改善度がややよいという特徴があります。第1世代は抗コリン作用のため、緑内障、前立腺肥大には禁忌です。

II トロンボキサンA2拮抗薬
商品名:バイナス

アレルギー性鼻炎における鼻粘膜血管透過性亢進や鼻腔抵抗上昇に対する抑制作用を持っており、鼻閉の改善に効果があります。くしゃみ、鼻汁に対しても効果が見られます。効果発現は緩徐でピークに達するまで4〜8週間かかります。血小板凝集能を抑制するため抗血小板薬、血栓溶解薬、抗凝固薬との併用に気をつけなければなりません。

III ロイコトリエン拮抗薬
商品名:オノン、シングレア・キプレス

ロイコトリエンはアレルギー性鼻炎における鼻粘膜血管透過性、鼻粘膜浮腫に関与するケミカルメディエーターの1つであり、その拮抗薬は鼻粘膜の腫脹を抑制し、鼻閉を改善します。その効果は第2世代抗ヒスタミン薬より優れており、内服1週間後くらいから認められます。

(3)Th2サイトカイン阻害薬
商品名:アイピーディ

2)

ステロイド薬

I 局所用 アルデシンAQネーザル、リノコート、フルナーゼ、ナゾネックス、エリザス

II 経口用 セレスタミン

ステロイド薬はアレルギー性鼻炎において気管支喘息と同様、抗炎症薬として効果が見られます。局所用のステロイド薬はいずれも微量で局所効果が強く、吸収されにくく、吸収されてもすぐに分解されるため全身的副作用が少ないという特徴があります。効果発現が早く確実で、アレルギー性鼻炎の3主徴に等しく有効です。効果は投与部位のみに発現するため左右に同じように噴霧しなければなりません。局所ステロイド薬で制御できない重症例に対してステロイド薬の内服を行うこともあります。抗ヒスタミン薬との合剤であるセレスタミンがよく使われますが、ステロイド薬単独でも使用されます。アレルギー性鼻炎に対するステロイド薬内服はその副作用を考えると、短期の使用にとどめるべきです。

3)

自律神経作用薬

(1)α交感神経刺激薬
商品名:プリビナ、コールタイジン、ナーベル、ナシビン、トーク
アレルギー性鼻炎の鼻閉は鼻粘膜のうっ血、浮腫、結合織増生などにより起こりますが、交感神経刺激薬はうっ血に有効で、主として点鼻薬として用いられます。本薬剤により鼻粘膜血管が収縮し、鼻閉は一時的に改善されますが、連用すると効果の持続は短くなり、使用後反跳的に血管が拡張し、かえって腫脹が増悪するようになります。実際の使用に際しては、鼻閉が強い患者さんに対して即効性を期待すると同時に、鼻内通気を改善し局所ステロイドが鼻粘膜全体に十分に散布されるように、局所ステロイドの使用10〜30分前に1日、1〜2回使用し、1〜2週間をめどに局所ステロイドの効果発現とともに休薬するようにします。


d.特異的免疫療法(減感作療法)

除去が可能なアレルゲン(食物、ペット、ソバガラ枕など)についてはふつうは行いません。皮下注射で行います。治療期間は少なくとも2〜3年をみなければなりません。中止しても効果は数年以上持続する例が多いといわれています。

特異的免疫療法の特徴

  1. 長期寛解や治癒が期待できる。
  2. 効果発現が遅い。
  3. 長期の定期的注射が必要である。
  4. 稀ながら重篤な副作用(全身性アナフィラキシーショック)を起こす。
  5. アレルゲンの検索が必須である。

近々、スギによる花粉症の治療に舌下免疫療法が使用できるようになります。


e.手術

手術療法の第1の目的は鼻閉の改善です。保存療法で改善せず、血管収縮性点鼻薬に反応の悪い人が適応となります。


1. 鼻粘膜の縮小と変調を目的にした手術:電気凝固法、凍結手術、レーザー手術法、トリクロール酢酸塗布
2. 鼻腔通気度の改善を目的とした鼻腔整復術:粘膜下下鼻甲介骨切除術、下鼻甲介粘膜切除術、鼻中隔矯正術、高橋式鼻内整形術、下鼻甲介粘膜広範切除術、鼻茸切除術
3.
鼻漏の改善を目的とした手術:vidian神経切除術

(治療法の選択)

通年性アレルギー性鼻炎の治療

通年性アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2010より引用


重症度に応じた花粉症の治療法の選択

重症度に応じた花粉症の治療法の選択

アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2010より引用




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