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アレルギー情報センターガイドライン小児気管支喘息:目次小児気管支喘息

ガイドライン

小児気管支喘息


目次

I. 小児ぜん息はどのような病気でしょう

II. 小児喘息はどのくらいいるのでしょう

III. 小児ぜん息の危険因子

IV. 小児ぜん息の急性発作への対応

V. 小児ぜん息の長期管理に関する薬物療法

VI. 乳児ぜん息

VII. 小児ぜん息における吸入機器とその使い方

VIII. 小児ぜん息の心理療法

IX. 運動誘発性喘息、運動療法

X. 肺機能、ピークフローモニタリング


I.小児ぜん息はどのような病気でしょう

1.小児ぜん息とは


小児ぜん息は、呼吸をするときにヒューヒュー、ゼイゼイという音(これを「ぜんめい(喘鳴)」と言います)が聞こえる呼吸困難を繰り返す病気です。つねにヒューヒュー、ゼイゼイいう病気は他の肺疾患、心臓血管系の疾患があるので区別する必要があります。

初めのうちは、カゼをひいたときに咳が長引いたり、ヒューヒューと呼吸にともなって音が聞こえること(ぜんめい)が多いようです。カゼのたびにこのような症状を繰り返しているうちに、カゼをひいていなくてもぜんめいが聞こえるようになったり、咳がでやすくなったり、運動をすると同じようにぜんめいや咳がでて、苦しくなることがおこるようになります。このような場合はぜん息が疑われます。

2. 肺の中ではどのようなことがおこっているのでしょう


ぜん息発作の原因となっている体の部分は、気管から分岐した先の気管支と肺胞(はいほう)全般です。気管支で起こっていることを整理してみましょう。

1) 気道炎症
ぜん息発作のほとんどは、ウイルスの感染(いわゆるカゼ)とアレルギーの原因になる環境性抗原(ダニ、ハウスダスト、動物の毛、フケ、カビなど)を吸い込んで、気管支粘膜で免疫反応が起こるために、ヒスタミン、ロイコトリエン、化学伝達物質が遊離され、マスト細胞、好酸球、好中球、リンパ球によるアレルギー性炎症反応がおこります。これが長期間続くため「気道の慢性炎症」がおこっているといいます。

2) 気道過敏性
気道過敏性とは簡単に説明すると、冷たい空気を吸ったり、急に走ったとき、大笑いした後、大泣きした後にぜん息発作が出るかどうかということです。気管に慢性炎症が起こっていると気管の粘膜がはれていてヒリヒリしている状態を想像してください。この気道過敏性がぜん息の重症度と相関します。気道過敏性を定量的に測定する方法として、一定の運動負荷をかけたり、気管を刺激する薬(ヒスタミン、メサコリン、アセチルコリン)を吸入させて呼吸機能検査を行う方法があります。

3) 気流制限
慢性炎症を起こしている気管支が刺激されると、気管支はどうなるのでしょうか。 ウイルス感染、アレルゲンの侵入により、気管支粘膜のマスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエン、化学伝達物質、サイトカイン、炎症性蛋白がでてきます。これらによって、
●気管支粘膜が腫れてきます(腫脹)
●気管支の周りの筋肉の収縮(気管支平滑筋収縮)
●痰がたくさんでてきます(粘液栓形成)
●気管壁が硬くなります(気管壁リモデリング)
がおこり、空気に通り道が狭くなりぜんめいや呼吸困難がおこります。さらに長期間の炎症により気管壁の線維化、平滑筋の肥厚がおこり肺機能が低下(リモデリング)します。

4) アトピー体質
アトピー体質というのは、ダニ、ハウスダスト、動物の毛、フケ、カビ、花粉などの環境性のアレルゲンに対して即時型アレルギー反応を起こすIgE抗体をつくる体質です。日本人のアトピー体質は、年齢が低いほど高率で、小児ぜん息患者さんでは90%以上がアトピー体質を持っています。したがって環境性アレルゲンの吸入によりぜん息発作が誘発されます。

3. 小児気管支喘息の診断はどのようにするのでしょう


ぜんめいを伴う呼吸困難の発作を繰り返しおこす病気ですが、表に示す病気を区別しなくてはなりません。
先天性異常、発達以上に基づくぜんめい
   大血管奇形
   先天性心疾患
   気道の解剖学的異常
   喉頭、気管、気管支軟化症
   絨毛性運動機能異常

感染症に基づくぜんめい
   クループ
   気管支炎
   細気管支炎
   肺炎
   気管支拡張症
   肺結核

その他
  アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
  過敏性肺炎
  システィックファイブローシス
  サルコイドーシス
  気管支内異物
  肺梗塞症
  心因性咳嗽
  気管、気管支の圧迫(腫瘍等)
  肺浮腫


4. 小児ぜん息はいくつかのタイプわけをしています


アトピー体質の有無によって、アトピー型と非アトピー型に分けることが一般的です。

アトピー型:ダニ、ハウスダストなどの環境性アレルゲンにIgE抗体を作る体質のあるぜん息
非アトピー型:ダニ、ハウスダストなどの環境性アレルゲンにIgE抗体を作らない体質のぜん息

5. 発作の程度をつぎのように決めています


ぜん息発作の程度を客観的に表現することは、ぜん息の重症度の評価、発作の治療方法、救急外来受診のタイミングを決めるために大切なことです。患者様も簡単な評価方法を覚えておくと役に立ちます。<BR><BR>呼吸の状態、呼吸困難感、生活の状態、意識障害、ピークフロー値によって、小発作、中発作、大発作、呼吸不全と判定します。

  小発作 中発作 大発作 呼吸不全
呼吸の状態 
      喘鳴

      陥没呼吸

      呼気延長

      起坐呼吸

      チアノーゼ

      呼吸数

軽度

なし〜軽度

なし

なし

なし

軽度増加

明らか

明らか

あり

横になれる

なし

増加

著明

著明

明らか

あり

あり

増加

減少または消失

著明

著明

あり

顕著

不定
  覚醒時における小児の正常呼吸数の目安

<2か月   <60/分

2〜12か月  <50/分

1〜5歳    <40/分

6〜8歳    <30/分
呼吸困難感 
      安静時

      歩行時

なし

軽度

あり

著明

著明

歩行困難

著明

歩行不能
生活の状態 
      会話

      食事

      睡眠

普通

やや低下

眠れる

やや困難

困難

時々目を覚ます

とぎれとぎれ

不能

障害される

不能

不能

障害される
意識障害 
      興奮状態

      意識低下



なし

やや興奮

なし

興奮

ややあり

錯乱

あり
PEF(吸入前)

   (吸入後)
>60%

>80%
30〜60%

50〜80%
<30%

<50%
測定不能

測定不能
Spo2(大気中) >=96% 92〜95% <=91% <91%
Paco2 <41mmHg <41mmHg 41〜60mmHg >60mmHg


6. ぜん息の重症度は次のように決めています


上記の発作程度は、今起こっているぜん息発作がどのくらい悪いかを評価するものですが、ぜん息の重症度は、ある期間におこるぜん息発作の回数、発作の程度を指標にして決めています。
2002年の改訂にともなって、重症度の判定を発作型に準拠して判定するようにしたので、これまでの重症度判定(軽症、中等症、重症)とは一致しなくなっています。
 さらに、小児では、成人の重症度判定、米国の判定(GINA)と1段階のずれていますので注意が必要です。

表 小児気管支喘息の発作型分類

発 作 型

症状の程度ならびに頻度

治療ステップ

間欠型

•  年に数回、季節性に咳嗽、軽度喘鳴が出現する
•  時に呼吸困難を伴うこともあるが、β2刺激薬の頓用で短期間で症状は改善し持続しない。

ステップ1

軽症持続型

•  咳嗽、軽度喘鳴が1回/月以上、1回/週未満。
•  時に呼吸困難を伴うが持続は短く、日常生活が障害されることは少ない。

ステップ2

中等症持続型

•  咳嗽、軽度喘鳴が1回/週以上。毎日は持続しない。
•  時に中・大発作となり日常生活が障害されることがある。

ステップ3

重症持続型1

•  咳嗽、軽度喘鳴が毎日持続する、
•  週に1〜2回中・大発作となり日常生活や睡眠が障害される。

ステップ

4−1

重症持続型2

•  重症持続型1に相当する治療を行っても症状が持続する。
•  しばしば夜間の中・大発作で時間外受診し入退院を繰り返し、日常生活が制限される。

ステップ

4−2



7. 小児気管支ぜん息の予後はどのように判定しているでしょうか


治療を開始して1年以上経過したところで判定しています。

1) 機能的治癒
5年以上無治療、無症状で、肺機能、気道過敏性が回復している場合

2) 臨床的治癒
5年以上無治療、無症状の場合

3) 寛解
無治療、無症状となってから寛解1年、2年、3年、4年と表現します

4) 軽快
治療ステップが2段階以上ステップダウンできた場合

5) 改善
治療ステップが1段階以上ステップダウンできた場合

6) 不変
治療ステップの変化がない場合

7) 悪化
治療ステップが同じで症状が悪化した場合、治療ステップがアップした場合



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