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アレルギー情報センターガイドライン成人気管支喘息:目次成人気管支喘息

ガイドライン

成人気管支喘息


目次

■ 喘息のメカニズム

■ 喘息と環境

■ 喘息の管理と治療

その他
1. 喘息死の問題
2. 咳喘息について
3. 喘息と運動
4. 喘息と飲酒
5. 月経喘息について
6. 喘息と妊娠、出産について
7. 喘息とスギの花粉症について
8. 喘息と手術、麻酔について
9. 喘息の急性増悪(発作)に対する対応


その他

1. 喘息死の問題


喘息が原因で死亡する患者の数は戦後減少してきていましたが、1975年から1996年までのおよそ20年間において年間約5000〜7000とほぼ横ばいでした。しかし1990年代末期から再び減少に転じ、2011年には総数2060人、2012年には2000人を切っています。2011年の人口10万対では総数1.6、男性1.4、女性1.9となっています。

5〜34歳の年齢階級喘息死亡率は1970年代に入って急激に減少しましたが1980年代に再び増加に転じ、1990年にピークを迎えました。その後1997年から急激に減少し、2007年には人口10万対で総数0.1以下となり、さらに低下しています。

65歳以上の高齢者の喘息死に占める割合は極めて高く、2008年84.8%、2009年87.5%、2010年88.1%、2011年88.5%と90%近くを占め、しかも年とともに漸増の傾向が見られます。高齢化社会を迎えるにあたって、高齢者喘息死はますます大きな問題になると考えられます。


2. 咳喘息について


普通の喘息とは違い、ゼーゼーという喘鳴がなく呼吸困難も伴わない咳が長く続き、気管支拡張薬を使うと咳の回数が減るという患者がいます。通常は痰を伴わない空咳が就寝時や深夜から明け方に強く出、日中は冷気、運動、飲酒、精神的な緊張などがきっかけとなり咳が連続して出ます。この咳には、いわゆる咳止めは効果が少なく、喘息と同様にβ刺激薬、テオフィリンなどの気管支拡張薬が有効です。その他にも気道の過敏性が亢進していること、アトピー素因があること、好酸球が浸潤した気道の炎症が見られること、吸入や経口のステロイド薬が有効なから咳喘息は喘息の亜型あるいは喘息の前段階と考えられています。何ヶ月も咳が続き、風邪が長引いているかと思っていたら呼吸が苦しくなり喘息と診断される例は、珍しくありません。類似した慢性の咳にアトピー咳嗽がありますが気管支拡張薬は効果がありません。アレルギーが原因と考えられ、多くの場合抗ヒスタミン薬が有効です。長く続く咳は、咳喘息だけでなく肺結核、気管支肺炎などの感染症、間質性肺炎、肺癌など見過ごせない病気があります。また、高血圧の薬の副作用が原因の咳であったり、鼻炎による鼻汁がのどに降りて咳が出たり、胃液が食道に逆流するため誘発される咳がありますので医師に正しい診断をして治療してもらうことが大切です。


3. 喘息と運動


喘息患者は、激しい運動をすると喘息発作になることは良く知られており、運動誘発喘息(exercise induced asthma :EIA) と言います。風邪を引いた後とか季節の変わり目で気管支の過敏性が亢進している時は、急ぎ足で歩く、階段を上るなどの軽い運動だけでも喘鳴がし、息苦しくなります。このように運動は喘息の増悪因子の一つであり、運動が唯一の発作因子の患者もいます。運動によって起きる気管支の収縮は、運動を始めて数分で起き、中止すると30分後には自然回復します。しかし、なかには気管支収縮が長引いて中等度〜重症の発作になることもあります。運動誘発喘息が起きやすい条件は、重症度、運動の種類、運動時間、気温・湿度などです。

a)喘息の重症度 軽症患者の35%、中等症患者の78%に運動誘発喘息があり、気管支の過敏性が亢進しているほど運動で発作が出やすいのです。
b)運度の種類 運動が激しいほど、一定のスピードで走るような運度ほど置き易い。ゆっくりと運動を強くする、さらに休み時間を入れるインターバル運動では起きにくいと言われています。マラソン、サッカー、ラグビー、登山はEIAを起こしやすく、起こしにくいスポーツは、気管支の乾燥が少ない水泳や剣道です。
c)気温と湿度 運動して喘息発作が出るのは、息を弾ませる時に気管支が冷えることや気管支から水分が取られ乾燥することが原因と考えられます。
EIAは夏よりも冬の乾燥した寒い日に起き易いのです。水泳は、気管支の乾燥がないため起きにくいのです。

発作を起こすことなく健康な人と同じようにスポーツが楽しむことは、QOLの向上になり喘息治療の目的の一つです。普段から適切な運動を続けると軽い呼吸量で運動が出来るようになるので、喘息の治療の運動療法と考えられます。また、スポーツは体力や運動能力を高めるほか、精神面でも良い効果があると言われています。EIAの予防の第一は、喘息の重症度を改善することです。そのためには薬物療法を強化することも必要です。ウォーミングアップを充分に取り、夜間や冬季の運動時はマスクを使い、鼻呼吸をして気管支の冷え、乾燥を防ぐと良いでしょう。こうしてもEIAが出るようであれば運動前に気管支拡張薬や抗アレルギー薬(インタール)の吸入を行うと予防できます。


4. 喘息と飲酒


飲酒すると喘息患者の約半数が喘息症状の増悪を経験し、これはアルコール誘発喘息と 呼ばれて います。お酒の主成分のエタノールは、肝臓で代謝されてアセトアルデヒドに変わり、さらに アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸と水に代謝されます。日本人は約半数の人は、ALDHが変異していて機能せず、酒を飲むと血中のアセトアルデヒドの濃度が上がります。アセトアルデヒドは頭痛や吐き気を起こすため、この人達は酒の弱い「下戸」と言われます。さらに、アセトアルデヒドにより気管支粘膜の毛細血管が拡張し、さらにヒスタミンの遊離が起きやすくなって喘息症状が悪化するのです。


5. 月経喘息について


女性の喘息患者では月経前または月経中に喘息症状が悪化することがあります。女性患者の3〜4割が月経喘息を経験し、それは1週間ほど続きます。その間ピークフロー値は下がり気道が過敏になります。月経前症候群といって月経の前、女性の心身はいろいろな面で不安定になりがちです。喘息以外にも精神症状、むくみ(浮腫)、てんかんなどの症状が周期的に黄体期に出現して月経直前にもっとも強くなり、月経開始とともに急速に消えていきます。その理由は、(1)月経前期に体に水分が貯まり、気管支の粘膜がむくみ気道が狭くなる。(2)性ホルモンのバランスの変化が気管支の平滑筋の収縮に影響する。(3)肥満細胞からヒスタミンなどの気管支収縮物質の放出が増えるなどが考えられます。治療法は喘息の悪化時の対応に変わりませんが、むくみと取るための利尿薬(ラッシクス)に効果があります。


6. 喘息と妊娠、出産について


喘息の女性患者が妊娠したとき、喘息が悪化する人が1/3、良くなる人が1/3、変わらない人が1/3と言われています。初回妊娠の時はどうなるか予測がつかないので不安も大きいですが、2回目以降の妊娠は初回と同じ経過をとるようです。妊娠して初めて喘息が発症する人もいますが、全体からみれば少数です。悪化した人について調べますと妊娠4〜6ヶ月ごろに増悪していますが、9ヶ月以降は逆に改善してくるようです。妊娠そのものが悪いというより薬物が胎児に悪い影響を与えることを心配して抗喘息薬の使用を減らし、コントロールが悪くなって喘息状態が悪化した例が少なくありません。抗喘息薬のなかで妊娠中比較的安全に使用できる薬剤には、吸入薬のインタール、吸入ステロイド薬、吸入β刺激薬、経口薬ではテオフィリン(テオドール、ユニフィルなど)、ステロイド薬(プレドニン)があります。経口の抗アレルギー薬は、妊娠中の有益性が上回ると考えられる場合においてのみ投与するべきですが、妊娠を知らずに使用していたとしても危険性は少ないと考えられています。


7. 喘息とスギの花粉症について


植物の花粉が原因となる喘息は、ブタクサ喘息が良く知られていますが、スギ花粉はアレルギー性鼻炎や結膜炎の原因にはなっても、喘息を起こすことはあまり多くありません。その理由には二つのことが考えられます。つまり、花粉の大きさと気管支の過敏性の問題です。発作はアレルゲンが気管支に入ることにより起きるのですが、スギ喘息が少ない理由の一つは、ブタクサの花粉の直径が20μm以下であるのに比べスギ花粉の大きさは直径40μmもあるので、鼻から吸入されたスギ花粉が鼻腔の粘膜に捕らえられて気管支まで到達しないためではないかと考えられます。もう一つの理由は、花粉患者は数からいえば喘息ではないことの方が多いので気管支が過敏ではないため、気管支にアレルギー反応が起きても簡単には収縮しないのです。勿論、多量のスギ花粉を一度に吸うと収縮しますが、咳だけの場合もあります。スギ花粉症の咳は珍しくありません。従って、スギ花粉症の患者が喘息になるのはもともと喘息体質があって、気管支が過敏な人がスギ花紛やそれ以外のアレルゲン(ダニ、ペット、カビ)に対して喘息になると考えられます。


8.喘息と手術、麻酔について


喘息患者は、気管支が過敏なので麻酔や手術の際に喘息発作を起こし易いのは確かです。具体的には、全身麻酔の時、気道を確保して酸素を送るためプラスチックチューブを気管支に挿管します。チューブを入れた時あるいは手術が終わって抜いた時にそれが刺激になって気管支が痙攣し、呼吸困難になることがあります。また、手術は体にとって大きなストレスです。この時、体内には副腎ステロイドの量が少なくなっていることも考えられ、たとえ軽症でも大きな発作なることがあります。経験の多い麻酔医や外科医は、そうしたリスクを念頭に置き注意して喘息患者の手術を行います。そして、ほとんどの喘息患者の麻酔や手術は無事に行われ成功しています。手術前の患者の心構えは、主治医と相談して自分の喘息の状態(重症度)を少しでも改善し、コントロールを良くしておくことです。どうしても喘息の状態が良くならない時は手術を延期してもらいましょう。手術する病院は、喘息専門医と外科医の連携が良く、経験の多い病院を選ぶのが安心です。


9.喘息の急性増悪(発作)に対する対応


はじめに

急性発作を起こした場合、もっとも大事なのは患者さん自身がもっている発作治療薬(レリーバー)で対応できる発作かどうかを見極めることです。そのためにわかりやすいように図を作りました。参照してください。

フロー
1.家庭での対応
急性喘息発作の症状には、軽度の呼吸困難から歩行困難や意識障害を示す高度発作まで広範なばらつきがあるため,個々の患者さんごとに医師から具体的な急性増悪に対する対処法を教えてもらう必要があります。
(1)
苦しいが横になれるような軽度症状の場合

β2刺激薬の定量噴霧吸入器(MDI)による1〜2パフの吸入,1時間まで20分おきに,以後1時間に1回を目安に使用します。さらにテオフィリン薬の経口投与を併用することもあります。どれくらいの量のテオフィリン薬が使用できるか担当医に確かめておいてください。症状の消失が見られ,また薬剤の効果が3〜4時間持続するときは自宅治療でいいでしょう。しかし,効果がない場合救急外来を受診する必要があります。

(2)
以下の場合は経口ステロイド薬(プレドニゾロン15〜30mg相当ー医師の指示による)を内服の上,直ちに救急外来を受診してください。
 

(1)歩行,会話が困難な高度喘息症状
(2)気管支拡張薬で3時間以内に症状が軽快しない
(3)β2刺激薬を1~2時間おきに必要とする
(4)症状が悪化していく
(5)現在中等度喘息症状でも以前に意識喪失を伴う重篤発作を起こしたことがあるハイリスクグループに属する患者あるいはステロイド依存性患者

2).救急外来患者の治療の手順

(1)軽度症状(小発作)

[症状] 軽度の呼吸困難で横になることができる。日常生活に制限なし。
[検査値] ピークフロー値(気管支拡張薬投与後)が予測値の80%以上
[治療] β2刺激薬を定量噴霧吸入器(MDI)またはネブライザーで吸入。症状が消失し,気道閉塞が改善すれば帰宅。改善しなければ中等度以上の治療にステップアップ。

(2)中等度症状および軽度症状の持続状態(中発作)

[症状] 呼吸困難のため横になれない,起座呼吸となる。日常生活の制限がある。
[検査値] ピークフロー値(気管支拡張薬投与後)が予測値の60〜80%
[治療] (1)β2刺激薬をネブライザーで吸入。20~30分おきに反復。脈拍は130/分以下に保つ。症状改善しなければ(2),(3)の治療に移る。
(2)アミノフィリン6mg/kgを等張補液200〜250mlで約1時間かけて点滴。テオフィリンの血中濃度10〜15μg/mlを目標にする。症状によりヒドロコルチゾン200~500mg,またはメチルプレドニゾロン40〜125mgを追加点滴靜注
(3)上記で改善しなければ,エピネフリン0.1〜0.3mlを皮下注射。20~30分間隔で反復可能。ただし脈拍は130/分以下に保つ。(虚血性心疾患,緑内障,甲状腺機能亢進症では禁忌)
(4)酸素吸入 経鼻で1〜2L/分

(3)高度症状あるいは中等度症状の持続状態(大発作)

[症状] 呼吸困難のため苦しくて動けない。歩行は不可能で話をするのも困難。
[検査値] ピークフローを含め呼吸機能検査は困難または不可能。酸素飽和度(SpO2)90%以下,血液ガス分析で動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)45torr以上,酸素分圧(PaO2)60torr以下であれば高度の気道閉塞がある。
[治療] 【初期治療】直ちに中発作に準じたβ2刺激薬ネブライザー吸入,エピネフリンとアミノフィリンの投与にステロイド薬を加えて治療を開始する。
(1)β2刺激薬(吸入用)0.3〜0.5mlを生理食塩水で希釈しネブライザーで吸入。
(2)アミノフィリン6mg/kgを等張補液200〜250mlで約1時間かけて点滴。ヒドロコルチゾン200〜500mg,またはメチルプレドニゾロン40〜125mgを追加点滴靜注。
(3)エピネフリン0.1〜0.3mlを皮下注射。必要に応じて20〜30分間隔で反復可能。ただし脈拍は130/分以下を保つ。(虚血性心疾患,緑内障,甲状腺機能亢進症では禁忌)
(4)酸素吸入 酸素投与はPaO2 80torr前後を目標とする。CO2ナルコーシス

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