「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起される現象」
◆ 食中毒、毒性食物による反応、食物不耐症(仮性アレルゲン、酵素異常症など)は含まない
(詳細は 食物アレルギー委員会報告:日本小児アレルギー学会誌.2003; 17: 558-9.参照)
◆ 慢性の下痢などの消化器症状、低タンパク血症を合併する例もある。
全ての乳児アトピー性皮膚炎に食物が関与しているわけではない。
- 皮膚症状 : そう痒感、じんましん、血管運動性浮腫、発赤、湿疹
- 眼症状 : 結膜充血・浮腫、そう痒感、流涙、眼瞼浮腫
- 口腔咽喉頭症状 : 口腔・口唇・舌の違和感・腫張、喉頭絞扼感、
喉頭浮腫、嗄声、喉の痒み・イガイガ感
- 腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便
- 上気道症状 : くしゃみ、鼻汁、鼻閉
- 下気道症状 : 呼吸困難、咳嗽、喘鳴
- アナフィラキシー : 多臓器の症状
- アナフィラキシーショック : 頻脈、虚脱状態(ぐったり)・意識障害・血圧低下

用語解説
- ・ 即時型症状
- 原因食物摂取後、通常2時間以内に出現するアレルギー反応による症状を示すことが多い。
- ・ アナフィラキシー
- 即時型アレルギー反応のひとつの総称で多臓器に症状が現れる。時にショック症状を引き起こす(10頁参照)。
- ・ 食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FEIAn/FDEIA)
- 原因食物を摂取後、運動を行ったときにアナフィラキシーを起こす疾患(10頁参照)。
- ・ 口腔アレルギー症候群(OAS)
- 口腔粘膜における食物(果物・野菜)による接触じんましん。症状出現時間は5分以内のことが多く、花粉症*、ラテックスアレルギーに合併することが多い。(*花粉症はシラカバ科、ハンノキ科、イネ科花粉症に多く、スギ花粉症には比較的少ない。)
わが国における食物アレルギー有病率調査は諸家の報告より、乳児が約10%、3歳児で約5%1)、学童以降が1.3-2.6%2),3)程度と考えられ、全年齢を通して、わが国では推定1-2%程度の有病率であると考えられる。
欧米では、フランスで3-5%4)、アメリカで3.5-4%5)、3歳の6%6)に既往があるとする報告がある。
1)EbisawaM, SugizakiC:J Allergy Clin Immunol .2008;121:912.
2)今井孝成:日本小児科学会雑誌.2005;109:1117-22.
3)文部科学省アレルギー疾患に関する調査研究委員会,アレルギー疾患に関する調査研究報告書,2007
4)Kanny G, MoneretVautrinDA, FlabbeeJ, et. al :J Allergy Clin Immunol .2001;108: 133-40.
5)Munoz-Furlong A, Sampson HA, Sicherer SH :J Allergy Clin Immunol .2004;113:S100.
6)Bock SA :Pediatrics .1987;79:683-8.
- 調査対象
- 食物摂食後60分以内に何らかの症状が出現し、かつ医療機関を受診した患者
<全年齢における原因食物>
<年齢別主な原因食物>
<症状>
n=3,882
平成17年に行われた全国モニタリング調査では、新規発症と誤食を分けて集計を行ったところ、1歳および2-3歳において誤食例が多く、全体でも約40%は誤食による健康被害であった。
今井孝成、海老澤元宏:平成14年・17年度厚生労働科学研究報告書より
- 乳児の食物アレルギーの多くはアトピー性皮膚炎を合併している。アトピー性皮膚炎治療ガイドラインに即したスキンケアや薬物療法を先に行っても症状が改善しない場合に食物アレルギーの関与の有無を検討する。
- 乳児から幼児早期の即時型食物アレルギーの主な原因である鶏卵、乳製品、小麦の多くは、その後加齢とともに80〜90%が耐性を獲得していく。(池松かおり ら:アレルギー. 2006; 55: 533-41.)
- 学童から成人で新規発症してくる即時型の原因食物は甲殻類、小麦、 果物、魚類、ソバ、ピーナッツが多く、耐性の獲得の可能性は乳児期発症に比べて低い。
- 即時型食物アレルギーの最も頻度が高い症状は皮膚症状であるが、アナフィラキシーショックを呈する例も多く、注意を要する。

用語解説
- ・ 耐性の獲得
- 適切な診断と治療(自然経過も含む)で、種々の機序により食物アレルギー症状を呈さなくなること。