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催奇形性
何らかの外的要因が胎児の発生途上に影響して、奇形が作られることを言う。放射線、薬品、ウイルス感染が代表的要因である。アレルギー・喘息治療薬の催奇形性について、動物実験でのステロイド薬の口蓋裂発症の報告はあるものの、テオフィリン薬やβ2刺激薬などの催奇形性は人においてはっきりした報告はない。抗ヒスタミン薬やインタール以外の抗アレルギー薬は、未だ安全性が不明である。

細気管支炎
乳幼児の発作性の喘鳴、呼吸困難は、気管支喘息以外にも細気管支炎のでも見られる。 乳幼児では内径1〜2ミリ以下の気管支抹消部の細気管支が著しく細いため、ウイルス感染などの炎症により重い閉塞性呼吸困難を起こしやすい。

柴胡剤
喘息の漢方療法には、発作期の麻黄剤と慢性期の柴胡剤がある。 麻黄剤はエフェドリン類を含むため気管支拡張作用や鎮咳作用があり、効果の発現は早い。一方、柴胡剤は抗炎症作用を有しており、長期服用により気管支の慢性炎症が改善し症状が安定する。特に、柴朴湯はステロイドの節減効果や副腎機能の賦活作用がある。
症状 生薬 漢方薬
発作期 麻黄剤 熱証(暑がり、汗をかく) 麻杏甘石湯
寒証(寒がり、くしゃみ、鼻水) 小青竜湯
空咳(咳こみ、痰のからみ) 麦門冬湯
慢性期 柴胡剤 体力中程度、虚実間 柴朴湯、小柴胡湯
脾虚(胃腸が弱い) 補中益気湯
腎虚(足腰の冷え、弱り) 八味地黄丸
*喘息予防・管理のガイドライン(協和企画)より

サイトカイン
サイトカインの語源は細胞(サイト)が産生する作動物質(カイン)から成る。各臓器の細胞は情報を伝達する生理活性物質であるサイトカインを産生し、相互に情報を交換しながらその機能を全うしている。免疫系細胞が産制するサイトカインには、リンパ球由来のリンフォカイン、マクロファージ由来のモノカイン、白血球由来のインターロイキン(IL)類がある。アレルギーに関係する重要なサイトカインには、即時型アレルギー促進に働くIL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、と抑制に働くIL8 、IL13、γインターフェロン(IFN-γ)、TGF-βなどがある。遅延型アレルギー発現に関与するのは、IL1、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、IFN-γなど。

サブスタンスP
知覚神経C線維末端に貯蔵されている神経ペプチドの一種。血管透過性亢進作用を持ち、他の神経ペプチドとともに神経原炎症を起こす。過換気や乾燥によって気道が刺激されると知覚神経末端から放出されて、気道過敏性を亢進させる。また肥満細胞との関連も深く、肥満細胞からヒスタミンを遊離させる。ヒスタミンは知覚神経を刺激し、C線維末端からサブスタンスPが放出され、その周囲の肥満細胞に作用してヒスタミンを遊離させるという増強サイクルが成り立つ。蕁麻疹の膨疹の周囲の紅斑はこの反応によると考えられる。

サリチル酸塩
サリチル酸化合物は、解熱、鎮痛、抗炎症作用を持つ非ステロイド性抗炎症薬の一種で、アスピリンが代表薬である。アスピリンを喘息患者が服用すると喘息発作を誘発する場合があり、とくにアスピリン喘息というが、喘息患者の約10%がアスピリンに過敏である。他の酸性非ステロイド性抗炎症薬でも発作が誘発されことから鎮痛薬喘息とも呼ばれる。内服、注射のほか、座薬、貼付薬、塗布薬でも発作を誘発しうる。この患者のなかには、食用黄色4号(タートラジン)、安息香酸ナトリウム、パラベンなど食品添加物に対しても過敏性を持つことがある。これらの薬物は共通してアラキドン酸のシクロオキシゲナーゼ阻害作用を有しており、プロスタグランジン類の生合成阻害、ロイコトリエン類の生合成促進を介して喘息を誘発すると考えられている。

残気量
呼吸機能検査の際、最大に吹き出した(最大吹出)後に、肺内に残存する空気量のことである。気管支喘息、肺気腫などの閉塞性肺疾患では、肺の弾性が低下して過膨張となり、残気量が増加する。肺線維症や肺腫瘍では拘束性障害のため残気量は減少する。

酸素飽和度
呼吸により肺胞にて血液に取り込まれた酸素は大部分が赤血球中のヘモグロビンに結合し、抹消組織に運ばれる。酸素飽和度(So2)は、ヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを示す。正常の動脈血のSo2は、93%〜96%である。動脈血の採血による測定が正確であるが、簡便法として、非観血的に連続して測定できる耳型や指尖型オキシメーターも利用されている。喘息の中等症以上では、So2は低下する。

自己最良値
ピークフロー値は、気道閉塞の程度に平行するので、喘息の重症度の判定や自己管理の指標になっている。自己管理する上で、目標とするピークフロー値が自己最良値あるいは予測値である。予測値は年齢、性、身長によって決まる健常人の値であるが、自己最良値は患者自身の最大測定値である。自己最良値は必ずしも予測値と同じにはならず、重症の患者ではしばしば予測値よりも低い。簡易型のピークフローメーターを使い、多くの患者の換気機能が最も良い午前11時と午後2時ごろに測定すると自己最良値が得られやすい。

思春期喘息
思春期〜青年期の喘息患者には、いくつかの特徴があり、治療管理の上で注意を要する。  
小児から成人に成長する過程で、親子関係、友人関係、学業、進学、愁傷区などに関する心理・社会的ストレスが多く、生活が乱れやすくなると同時に、治療の主導権が患者本人に移るため受診率が悪くなりがちで、服薬の遵守(コンプライアンス)が保たれないまま増悪しやすい。そのため喘息死亡率も高い。女子では喘息発作が月経と関連しやすい。

室内アレルゲン
吸入性アレルゲンは、室内アレルゲンと室外アレルゲンに分けられる。前者には室内ダニ、ネコ、イヌ、ハムスターなどの動物由来、アルテルナリア属、アスペルギルス属、クラドスポリウム属、カンジダなどのカビ類、ゴキブリなどの昆虫類がある。後者には花粉、カビ類、昆虫類がある。樹木花粉は早春に、イネ科花粉は晩春や夏期や秋期に飛散する。昆虫類ではユスリカによる喘息がある。

室内汚染物質
タバコや線香の煙、軽油暖房機の燃焼ガス、家庭用スプレー、殺虫剤、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機物質は、室内汚染物質として喘息増悪の原因になる。

症型持続喘息
喘息症状の変動が大きく、症状がほとんど連日続く。夜間発作も多く、日常生活にも支障がある。高容量の吸入ステロイドと気管支拡張薬を用いても、しばしば経口ステロイド薬を必要とし、喘息死のリスクが高い。治療前のピークフロー値は自己最良値の60%未満、あるいは日内変動が30%以上を示す。

重症度
喘息の重症度は、喘息症状の強度、頻度、および日常のピークフロー値あるいは1秒量とその日内変動、喘息症状をコントロールするに要した薬剤の種類と量により軽症、中等症、重症の3段階に分けられる。喘息治療のガイドランにおける長期管理では、重症度に対応した段階的薬物療法に従い、軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型の4段階(ステップ)に分類して治療レベルを決める。

重積発作
治療に反応不良の重症の喘息発作が続く重篤状態で、気管内挿管による人工呼吸管理が必要となり、ときには気管支拡張作用をもつ麻酔薬(イソフルランなど)を用いた全身麻酔を行う。

樹枝状細胞
皮膚、気道、腸管にはシート状の突起を常に動かしている樹枝状細胞(dendritic cell)が存在する。この細胞は抗原提示細胞の一つで、抗原を取り込んで処理し、リンパ組織に移動してそれをT細胞に提示すると同時に強力にT細胞を刺激し、免疫応答を引き起こす先導役を果たしている。

受動喫煙
喫煙者が周辺に出すタバコの煙を周囲の人が受動的に吸うことを言う。タバコの煙の中には、ニコチンの他、多環炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素などの化学物質や汚染物質が存在する。なかでも自然燃焼しているタバコから出る煙は高温で産生されて、喫煙者が吸い込む煙より毒性が強く気道粘膜に刺激性がある。親の喫煙による受動喫煙した小児において喘息リスクが増大するという。

小児期発症喘息
成人喘息には、成人になって初めて発症した成人発症喘息と小児喘息から持ち越した(喘息が寛解せず、続いている)小児期発症型喘息とがある。

上皮細胞
気管支の内腔は、表面に繊毛をもった気管支上皮細胞に覆われている。この上皮細胞は、繊毛の動きにより気管支内の異物や分泌液(喀痰)を口腔方向に運ぶ作用を持っている。
また、粘膜を保護するバリアーとしての働きもあるため、気管支の炎症により上皮細胞が傷害されて剥がれるとその粘膜保護機能が失われて知覚神経が露出し、外因性の刺激に対して容易に迷走神経反射が起き、気管支が収縮しやすくなる(気道過敏性の亢進)。

小発作
喘息発作の程度は、小発作、中発作、大発作の3段階に分類されている。成人喘息の小発作は、苦しいが横になれる状態で、会話はほぼ普通に出来、動作はやや困難、チアノーゼ無く、意識正常、ピークフローは最良値の70〜80%である。

除去試験
食物アレルギーの原因を見出す方法として、誘発試験と同様に信頼性が高い試験である。 原因と思われる食物とそれを含むすべての食品を完全に除いた食事を数日〜数週間続けさせて、喘息やアトピー性皮膚炎などの症状が消失するかどうか調べる。一方、誘発試験は症状がない時期に原因食物を食べさせて症状の発現を観察する。

職業性アレルギー・喘息
職業性アレルギーは、特定の労働環境で特定の職業性物質に暴露されることによりおこるアレルギー疾患を指す。職業性アレルギー疾患は、主に喘息のほか過敏性肺炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚疾患などがある。原因物質は動植物性の高分子物質(蛋白、多糖類)と低分子の化学物質に大別される。前者には果実栽培の花粉、養蚕業の蚕の成分、ホヤ業のホヤの体成分、ペット業者の動物蛋白、後者には塗装業のウレタン、医療・薬剤関係のラテックス、薬物、セメント・金属工場のクロム、ニッケル、コバルトなどがある。

食品添加物・食用黄色4号
喘息患者の約10%はアスピリンなどの鎮痛薬の使用直後に喘息発作を起こす。これをアスピリン喘息または鎮痛薬喘息というが、これらの患者のなかには食品に含まれる着色料、防腐剤などの食品添加物が原因で喘息発作を誘発することがある。その代表が食用黄色4号とよばれるタートラジンであり、防腐剤の安息香酸ナトリウムである。そのほか、防腐剤のベンジルアルコール、パラベン、食用黄色5号(サンセットイエロー)、食用赤色2号(アマランス)、食用赤色102号(ニューコクシン)が疑わしい。

除放性剤
薬の効果が長時間続くように工夫された剤型の薬剤をいう。喘息症状を持続的に抑制するので長期管理薬として使用される。除放性テオフィリン薬(テオドール、ユニフィルなど)、除放性β2刺激貼付薬(ホクナリンテープ)などがある。

真菌
喘息の原因となる真菌(カビ)類には、アスペルギルス属、カンジダ、ペニシリウム属、アルテルナリア属、クラドスポリウム属などがある。湿度の高い浴室、台所、押入れに多く見られる。菌糸ではなく飛散胞子が原因となり、5月と10月が飛散のピークである。

神経ペプチド
神経末端から遊離されるペプチド(アミノ酸結合物)のことで、迷走神経のアセチルコリンやVIP、気道知覚神経C線維のタキキニン類(サブスタンスP、ニューロキニン、CGRPなど)がある。アセチルコリンは気道平滑筋収縮作用を持つのに対して、逆にVIPは平滑筋拡張作用がある。タキキニン類のサブスタンスPは血管透過性亢進、ニューロキニンは気道平滑筋収縮作用、CGRPは血管拡張作用をもつ。これらの遊離刺激はカプサイシン、ヒスタミン、ブラジキニン、ロイコトリエンC、電気刺激、過換気や乾燥による気道刺激などがある。

心身医学
心理的因子が脳中枢性に自律神経系、内分泌系、免疫系に影響し、身体的症状を起こす場合を心身症という。気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症と病状には、心理的因子が少なからず関与している。社会的には学校、職場、地域社会に関連した問題、個人的には友人、家族の問題が心理的因子となっている。

振戦
β2交感神経刺激薬には、手指の振るえ(振戦)や動悸がある。これは交感神経の刺激による症状である。

心理療法
心理的因子が関係していることが明らかな気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー患者には薬物療法と平行して、心理療法を施す必要がある。患者の人格(パーソナリティー)の問題よりも現実のストレスが強い場合には、心身の問題に気づかせ、環境調整や生活指導を行い、心身のリラックス方法として自律訓練法を習得させる。患者の人格に問題がある場合には、心身医学を専門とする精神科医師、心理療法士に紹介する。専門的な治療法には、自律訓練法、交流分析法、行動療法、認知行動療法、精神分析的精神療法、家族療法などがある。

スギ花粉症
スギ花粉の飛散時期の2〜3月に、目の痒み、くしゃみ、鼻水、鼻閉塞などの症状が出現する。スギ花粉の大きさは直径30μあるため、鼻腔などの上気道の粘膜面に補足され気管支以下の下気道には到達しないので喘息症状は少ないが、咽頭の違和感から咳を訴える患者もある。スギ花粉のアレルゲンは花粉の表面にあり、Cryj1とCryj2が同定されている。また、スギ科とヒノキ科には共通抗原性があり、スギ花粉患者はヒノキの花粉にも反応し、ヒノキ花粉の飛散する5月まで症状が続くことが多い。

スクラッチテスト
アレルゲンを見出すためのアレルギー検査には、患者の生体反応を利用した方法と採血による試験管内検査がある。生体反応試験は皮膚反応試験、眼反応試験、鼻粘膜反応試験、抗原吸入試験など、血液試験には特異的IgE抗体の測定がある。スクラッチテストは即時型アレルギーをみる皮膚反応試験の一つである。消毒液で清拭した皮膚(前腕、背中など)に針で2〜3ミリほどの引掻き傷をつけ、そこにアレルゲン液を滴下して15分後に出現する皮膚の反応(発赤、膨疹)を観察し、陽性、陰性を判定する。

ステップ1
喘息の長期管理における段階的薬剤投与法では、喘息患者の重症度に応じて4段階の薬物治療を決定する。そのうちステップ1は重症度の軽症間欠型に対応している。薬物治療は、長期管理薬として低用量の吸入ステロイド薬、テオフィリン徐放薬、ロイコトリエン拮抗薬、抗アレルギー薬(トロンボキサンA2阻害・拮抗薬の連用考慮。メディエーター遊離抑制薬/ ヒスタミンH-1拮抗薬/ Th2サイトカイン阻害薬)の投与を考慮する。発作治療薬として短時間作用性気管支拡張薬(吸入β2刺激薬、テオフィリン)の頓用。

ステップ2
喘息の長期管理における段階的薬剤投与法において、ステップ2は重症度の軽症持続型に対応した薬物治療である。長期管理薬:低用量の吸入ステロイドの連用、テオフィリン徐放薬の連用、長時間作用性貼付/ 経口/ 吸入β2刺激薬、インタール吸入の連用を併用。アトピー型喘息には上記薬物に抗アレルギー薬の併用。発作治療薬:短時間作用性気管支拡張薬(1日3〜4回まで)。

ステップ3
喘息の長期管理における段階的薬剤投与法において、ステップ3は重症度の中等症持続型に対応した薬物治療である。長期管理薬:中用量の吸入ステロイドの連用にテオフィリン徐放薬、長時間作用性の貼付/ 経口/吸入β2刺激薬、ロイコトリエン拮抗薬の連用を併用。Th2サイトカイン阻害薬の併用を考慮。発作治療薬:短時間作用性気管支拡張薬(1日3〜4回まで)。

ステップ4
喘息の長期管理における段階的薬剤投与法において、ステップ4は重症度の重症持続型に対応した薬物治療である。長期管理薬:高用量の吸入ステロイドの連用にテオフィリン徐放薬、長時間作用性の貼付/ 経口/吸入β2刺激薬、ロイコトリエン拮抗薬の連用を併用。Th2サイトカイン阻害薬の併用を考慮。上記治療でコントロール不良の場合は、経口ステロイド薬を追加。

ステップアップ
現行の治療でコントロールできないときは、重症度の高いステップに進むことをいう。
 ピークフロー値が60%以下のときは、経口ステロイド薬の中・大量短期間投与を行う。

ステップダウン
治療の目的が達成されたら、少なくとも3ヶ月以上の安定を確認してから治療内容を減らしてもよい(治療ステップを下げる)。以後もコントロール維持に必要治療は続ける。

ステロイド依存
通常の喘息治療薬では改善されず、副腎皮質ステロイド薬を用いなければ日常生活ができない重症・通年性の気管支喘息で、しかも1年以上ステロイド療法(プレドニン換算5mg/ 以上)を続けている場合をいう。ステロイド薬と長期間使用した患者のなかにはステロイド薬の減量・中止が困難な患者がおり、難治性喘息といわれる。

ステロイド薬
副腎皮質ステロイド薬は、喘息のもっとも効果的な抗炎症薬である。喘息の病態は慢性の剥離性好酸球性気管支炎であるが、その炎症はステロイド薬により回復する。その作用機序は炎症細胞の気道内浸潤・遊走・活性化の抑制、血管透過性亢進の抑制、気道分泌の抑制、気道過敏性の促進、サイトカイン産生予防、アラキドン酸からのロイコトリエン産生抑制、吸入β2刺激薬の作用促進などがある。経口ステロイド薬は強い効果がある反面、長期使用により消化性潰瘍、糖尿病、骨粗しょう症、易感染など全身性副作用があるので、吸入ステロイドが喘息治療の中心になっている。

ストレス
外部からの刺激(ストレッサー)によって引き起こされる生体の反応をストレスというが、刺激自体もストレスとよばれている。ストレス(ストレッサー)には、物理的・化学的ストレッサー、生理的ストレッサー、心理・社会的ストレッサーの3種類がある。
 喘息に関係したストレスは、温度、大気汚染、過労、感染症、葛藤、不安、緊張などが誘引となっている。
(1)物理・化学的ストレッサー: 異常温度、湿度、騒音、けが、有害物質、薬物、大気汚染
(2)生理的ストレッサー: 過労、睡眠不足、栄養不良、感染症
(3)心理・生理的ストレッサー: 人間関係の葛藤、欲求不満、不安、心配、緊張、 怒り、恐怖、失望など

スパイロメトリー
肺機能検査のうち、肺活量や最大努力による呼出時の1秒量、最大呼気流量(ピークフ
ろー)など一連の検査をいう。この結果によって換気障害の種類、程度を判別することができる。これらの測定器がスパイロメーターである。

スパイログラ
スパイロメーターによって呼気量、速度、時間の関係をグラフに画かせたのをスパイログラムという。

スペーサ
吸入ステロイドや吸入β2刺激薬が確実に気管支と肺内に吸入されるための吸入補助器具である。スペーサーの袋部分に吸入薬を噴霧して一定濃度になった空気を深呼吸とともに吸い込む。これにより咽頭への刺激、嗄声、口腔・咽頭カンジダ症などの局所副作用を抑えることができる。また、薬物の噴霧と吸い込みを同調でき、治療効果を高められる。

成人喘息
年齢が20歳以上の喘息患者を成人喘息という。小児喘息患者のほとんどは幼児から学童期に始まり、男児に多く、原因アレルゲンに対する特異的IgE抗体が証明されるアトピー型喘息であるが、成人喘息の場合は中高年で発症し、特異的IgE抗体が証明されない非アトピー型が多く、鎮痛薬喘息もみられる。

喘鳴
喘鳴は気道閉塞の特徴であり、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーと音を伴うもので、気管支喘息ではよくみられる。

咳喘息
喘鳴や呼吸困難発作を伴わない慢性乾性咳嗽を唯一の症状とし、気管支拡張薬が有効である病態。咳喘息は喘息の亜型あるいは前段階と考えられる。就寝時から早朝時の乾性咳嗽、気道過敏性の軽度亢進、喀痰中好酸球増多、ステロイド薬が有効という特徴がある。治療は、気管支拡張薬と吸入ステロイドによる長期管理が必要である。

接着因子
アレルギーの炎症反応の場においては、リンパ球、マクロファージ、肥満細胞、好酸球などの炎症細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞などの細胞が互いに情報交換しつつ、反応を進行、完成させ、消退させている。この情報交換の際に重要な役割をするのが、細胞同士を互いに密接に接触させる機能を持つ接着因子の仲間である。接着因子には4つのグループ、免疫グロブリンファミリー、インテグリンファミリー、セクレチンファミリー、カドヘリンファミリーがある。

接触性皮膚炎
外来性の物質との接触により生ずる皮膚炎をいう。接触部位の痒み、赤斑、浮腫、丘疹、びらん、小水疱などが見られる。発症機序により刺激性、アレルギー性、光毒性に分かれる。アレルギーは主に遅発型アレルギーが関与し、その原因物質は、金属(ニッケル、コバルト、クロムなど)、植物(うるしなど)、日用品(ゴム、ラテックスなど)、化粧品、医薬品(軟膏基材など)がある。パッチテストにより原因物質を同定する。

線維芽細胞
慢性喘息の気管支壁は、粘膜の繊毛上皮細胞の内側、基底膜の間にV型、W型コラーゲンとフィブロネクチンなどの線維からなる厚い結合組織の層が沈着して肥厚している
(上皮下線維増生)。線維芽細胞はこれらの線維性物質を産生する。これに上皮化成(杯細胞化)、平滑筋肥厚、粘膜下腺の増殖が加わった病態を気道壁のリモデリングという。

喘息死
近年、喘息が原因で亡くなる患者数は減ってきているものの、年間5,000人を越えている。高齢者の重症患者の喘息死が多いが、成人、小児とも軽症、中等症患者の喘息死が増加えている。3時間以内の急死例が多く、重積発作が続き死亡する例は20%前後である。死亡に至る発作の誘因は、気道感染、ストレス、過労、ステロイド薬の中止・減量、鎮痛薬の服用、吸入β2刺激薬の過剰使用、β遮断薬の使用などである。喘息死の減少しない理由は、喘息に対する認識不足、不適切・不十分な治療薬、不定期受診や服薬・指導不遵守(コンプライアンス不足)、救急医療体制の不備や遅延などの問題がある。

喘息日記
喘息の治療は、医師と患者が相互に信頼関係を築き、患者が治療計画に従って、安定した自己管理を行い、生活の質(QOL)を高めることが大切である。自己管理の指標となるのが、ピークフローの測定と喘息日記の記入である。患者が自分自身の重症度や増悪因子を評価できるように、喘息日記に喘息発作の強度や頻度、簡易型ピークフローメーターにより測定したピークフロー値を記入する。この記録をもとに医師はその後の治療法、指導法の計画を作成でき、患者は自分自身の症状と薬物の効果を実感できる。また、他医の診療を受ける場合にも日記を見せることで的確な診療を受けることができる。喘息日記は日本アレルギー学会検討委員会より基本形が示されている。

全肺気量
全肺気量は、最大膨らんだ時の肺の容量のことで、安静時呼吸の基準レベルから深く息を吸い込んだ深吸気量と機能的残気量を加えて求める。機能的残気量は窒素やヘリウムなどのガスを含んだ空気を呼吸させて、その希釈の状況をみることによって測定する。
 喘息や肺気腫では過膨張の状態にあるため。全肺気量は増加する。

線毛運動
気管支の粘膜を覆う上皮細胞の外表面には繊毛があり、一定方向になびく繊毛運動により異物や分泌物(喀痰)を咽喉頭側に送り出す働きをする。

素因
喘息の発症に関わる遺伝子的な因子のことで、アトピー素因、気管支過敏性素因、性別
などがある。

増悪因子
気管支の炎症、気管支収縮の誘発により喘息発作を引き起こす因子をいう。アレルゲン、大気汚染物質、呼吸器感染、運動および過換気、気象変化、食物・食品添加物・アルコール、薬物(鎮痛薬、β2遮断降圧薬)、身体的ストレス(過労)、精神・心理ストレス、副鼻腔炎、逆流性食道炎、月経など。

即時型喘息反応
アレルギー性喘息患者にアレルゲンを吸入させると(吸入誘発試験)、吸入の15分後から気管支収縮(1秒量の低下)が起き、喘息症状が誘発される。この反応は、吸入されたアレルゲンが気道粘膜内に存在する肥満細胞の表面にあるIgE抗体と結合し、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出されて、気管支の収縮が起きることから即時型喘息反応とよばれる。急性の喘息発作を再現していると考えられる。気管支拡張薬や抗アレルギー薬は、この反応を抑制する。
 これに対して、アレルゲン吸入後に数時間して、再び気道閉塞の症状が現れる反応を遅発型喘息反応という。

阻止抗体
遮断抗体ともいう。減感作療法が有効な理由の一つは、アレルゲンと特異的IgE抗体との結合を阻止(遮断)するIgG型の抗体が産生されることが考えられる。事実、アレルゲンを少量ずつ注射していくと、症状の改善とともにアレルゲン特異的IgG4抗体が増加する。しかし、この特異的IgG4抗体が阻止抗体の役割があるかどうかは決定されていない。

そばアレルギー
そばアレルギーの症状は、概して他の食物アレルギーにくらべ重症である。経口した直後に喘息発作、鼻アレルギー、蕁麻疹、消化管アレルギーが揃って出現し、アナフィラキシーショックもまれでない。そば粉(そば枕使用)の吸入でも鼻アレルギーや喘息発作を起こす。そば特異的IgE抗体が関与する典型的な即時型アレルギーである。そば抗原性は非常に強いので、ごく少量でもアナフィラキシーショックを誘発する危険があり、減感作療法は勧められない。

ゾーンシステム
喘息は慢性的で変動しやすい。喘息管理のゾーンシステムは、患者が自分自身で喘息の状態を把握し、悪化の兆候を早い段階で感知して早期に対処するために役立つ。長期管理のステップと異なり、症状の急変に対応するためのシステムである。
喘息状態を次の3つのゾーンに分け、それぞれに交通信号の色を当ててある。
1)緑で安全なグリーンゾーン: 発作なし、ピークフロー値は自己最良値の80〜100%
2)黄色で要注意のイエローゾーン: 喘鳴/胸苦しさ〜軽度の小発作、最良値の50〜80%
3) 赤で要警戒のレッドゾーン: 中等度の中発作以上、最良値の50%未満
患者が家庭で対処する内容は、以下である。
1)グリーンゾーン: よくコントロールされており、症状はあっても喘鳴程度。
症状があれば、β2刺激薬の吸入を行う。
2)イエローゾーン: 呼吸困難などの発作がある。β2刺激薬の吸入を1時間に3回まで行い、改善がなければ医師により指示された量の経口ステロイド薬を内服して医師の診察を受ける。
3) レッドゾーン: 安静時にも喘息症状があり、日常生活に支障がある。
早期にβ2刺激薬の吸入と早期に経口ステロイド内服を行い、早急に医師の診察を受ける。準備があれば酸素吸入を開始する。

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